銭湯・奥の細道 (東北の銭湯巡り)

東北を中心に、全国の銭湯(公衆浴場・お風呂屋さん)を紹介します! あと少し温泉共同浴場も。

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2015年のベスト銭湯♨ 大発表!!!

そういえば
個々の銭湯の紹介記事がここ数年全く書けていない...

そこで、2015年1月~12月に(初めて)行った銭湯の中で
非常に心に残ったお風呂屋さんを選んで紹介していきたいと思います。

選考基準は…当サイト管理人による完全な独断と偏見です!
         それ以外は一切なし!


ですが、初めて行く人も銭湯ファンもきっと満足いく銭湯だと自信を持ってオススメ出来ます!
1位から10位ランキングはそこまで意味はありません。どれも、また行きたい・素晴らしい銭湯です。


それでは発表します!





♨1位♨ 
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 巴湯
 (埼玉県杉戸町)  →営業情報

全くもって知られていない一軒ですが、
すべてがちょうどいい奇跡! ちいさなちいさなお風呂さん。 
多くは語りませんが、都内からも電車一本で40分で行ける好アクセス。
風呂好きがここに行かないなんてありえない!!!
合わせて行くなら: 駅から銭湯までの旧杉戸宿の商店街がいい!
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♨2位♨ 
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 世安湯
 (熊本県熊本市)  →営業情報

ある方は言いました、ここは「銭湯界の良心」だと。
数年前まである種の無法状態だったという浴場を、ご近所さんが集まる「憩いの場」に変えた
世安湯のご夫婦の人柄と手腕にブラボー!
2016年は、熊本県の浴場組合が動きます!注目!
合わせて行くなら: 世界中から旅行者が集まるゲストハウス「阿蘇び心」もナイス
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♨3位♨
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 梅の湯
 (千葉県千葉市)  →営業情報

それは小雨が降る夜でした。梅の湯に着いたのは閉店時間15分前。
「すいません、今から入れますか?すぐ上がるんで」と聞いたら
「寒かったでしょ~。急がないでゆっくり暖まっていってください~♨」 と番台の女将さん。
この言葉にどれだけ救われたか。いやー泣けました。
家族総出の「おもてなし」体も心も温まったよ。 丸山絵師による東北のペンキ絵も必見!
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♨4位♨
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 池田温泉
 (徳島県三好市)  →営業情報

なんだろう?? 浴室でのこの距離感は?この雰囲気は?
銭湯ではなく、親戚や家族と一緒に風呂に入っているような不思議な感覚♨
マンションの階段を貫く巨大煙突。地元の池田高校野球部専用棚(日本唯一!?)
昔は四国の交通の要所として栄えた池田町の最後の一軒。行かないと、この感覚は分からない!
合わせて行くなら: 喫茶店「パーラー21」ご近所さんが集まる喫茶店。定食も美味しいです。
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♨5位♨ 
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 巴湯
 (静岡県浜松市)  →営業情報

浴室を構成するもの:湯船・カラン・桶・イス、そしてお湯。以上!!!
当サイトから“銭湯・シンプルイズベスト賞”を授与したい!
楽器の街、浜松だけあって、脱衣所のイスがYAMAHAのピアノ用ってのもまた良い。
着物の女将さんもご主人も良い方でした♨
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♨6位♨
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 梅湯
 (京都市下京区)  →営業情報

もう、あえて説明不要でしょ!5月から再開した京都の梅湯♨
2015年の銭湯界の大きな変化の一つ。がんばれ湊くん!
合わせて行くなら: 梅湯のある地域は旧遊廓街で、その当時の建物や新しく入った面白い店もチラホラ。
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♨7位♨
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 御谷湯
 (東京都墨田区)  →営業情報
2015年5月に新築再オープンした墨田区の温泉銭湯。
今井健太郎さん設計の浴室も素晴らしいが
わざわざ1階部分に「福祉型家族風呂」をつけた意義、素晴らしい!
銭湯の意味・未来像を感じさせる。
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♨8位♨
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 一の湯
 (群馬県桐生市)  →営業情報

これが日本一、いや宇宙一!男前な銭湯。上州桐生の「一の湯」だ!
男はごちゃごちゃ語らず!とにかく行くべし!!! (女子もね)
合わせて行くなら: ランチも食べられる銭湯「三吉湯」や、古い建物もたくさんあり、桐生は見所多い。
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♨9位♨
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 大阪市西成区あいりん地区の銭湯
  →営業情報

治安が悪いイメージがある西成区あいりん地区ですが
その周辺の銭湯は、設備もいいしキレイだし朝からやってるし
全国的に見てもトップレベルだと思います。そのギャップにやられる!!! 
全国唯一?の男性しか入れない銭湯・今池湯の廃業は残念。
合わせて行くなら: スーパー玉出?飛田新地?? めしやも安くておいしい所多くていいよ。
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♨10位♨
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 くすり湯
 (熊本県熊本市)  →営業情報

全国のお風呂屋さんの中での最も“異空間な銭湯” 熊本のくすり湯
昭和レトロなんて生ぬるい言葉はここでは通用しない。戦中・戦前日本だ!
常連客以外全く気付かない路地の奥に、その銭湯は存在する...
合わせて行くなら: 近くの居酒屋「阿蘇っ子」で馬刺しをつまみに風呂上がりの一杯♨
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※ちなみに2015年12月31日大みそかに入ったのは
愛媛県宇和島の「大黒湯」でした。
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たぶん、4年ぶりくらい。宇和島の銭湯も今年の夏に1軒廃業して3軒になりました...
魚屋が密集する地区にあるお風呂屋さん。とても良いです。
終着駅宇和島に訪れた際は是非♨  →営業情報


近年の銭湯の世界では
『いつか行こう』 は絶対の禁句です!!!
その結果、毎年自分を含め何千万人の銭湯好きが涙を流したことか。
「いつまでもあると思うな!親と風呂屋!」

気になった所は、明日にでも行ってね! 絶対に後悔はさせません!




2015年のベスト銭湯♨ 大発表!!!
1位  巴湯 (埼玉県杉戸町)
2位  世安湯 (熊本県熊本市)
3位  梅の湯 (千葉県千葉市)
4位  池田温泉 (徳島県三好市)
5位  巴湯 (静岡県浜松市)
6位  梅湯 (京都市下京区)
7位  御谷湯 (東京都墨田区)
8位  一の湯 (群馬県桐生市)
9位  大阪市西成区あいりん地区の銭湯
10位 くすり湯 (熊本県熊本市)

| コラム的なもの | 10:56 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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銭湯のミライとは? ~10年後あなたの街に銭湯は残ってますか?~

先日とある銭湯好きの方と飲み屋でさしで話していて、
ふと
「あれ?もしかして地方の銭湯って数十年後本当に全滅してるんじゃ」という不安に急に駆られました。
いてもたってもいられず、自分で計算してみました!

データは、総務省統計局が毎年出している「衛生行政報告例」の公衆浴場数を元にしています。
政府が毎年出している資料なのでかなり信頼度は高いです。
「(普通)公衆浴場」とは、いわゆる「銭湯」「まちのお風呂屋さん」の事で
県によっては、安い温泉施設も含まれている事もあります。(青森・大分・鹿児島の軒数が非常に多いのはその為です。)


ここ近年の銭湯の減少率については、以前書いた こちらの記事 を参照ください。
今回は各都道府県の近年10年間(2005年→2015年)の銭湯減少率を元に計算しました。
このままのペースで廃業が続くと、数十年後は銭湯はどれくらいの数になるかというざっくりとしたシミュレーションです。
小数点以下は四捨五入。予想値が1軒以下になった場合(実質0軒)は、にしました。


銭湯・未来予想図♨
      平成26年度
(2015年3月)
2020年予想
(5年後)
2025年予想
(10年後)
2045年予想
(30年後)
2065年予想
(50年後)
近年10年間の
銭湯の減少率

全国4,293軒
(うち公営354)
3,439軒 2,576軒927軒334軒-39.8%
北海道327 (48)2601946824-40.8%
青森321 (67)302283219170-11.9%
岩手27 (1)1912-56.5%
宮城9-59.1%
秋田12 (1)-45.5%
山形1
-87.5%
福島12-60.0%
茨城5-58.4%
栃木11-38.9%
群馬272318-32.5%
埼玉614428-54.2%
千葉624732-48.4%
東京659 (1)53140515257-38.7%
神奈川1841491134316-38.5%
新潟262115-42.3%
富山110 (1)91723114-34.2%
石川86 (5)685118-40.7%
福井241910-58.7%
山梨19 (4)1714-24.0%
長野372819-50.0%
岐阜29 (1)2114-53.3%
静岡11-50.0%
愛知117865612-52.3%
三重47 (2)3421-55.7%

平成26年度
【2014年3月】

2020年予想
(5年後)

2025年予想
(10年後)

2045年予想
(30年後)

2065年予想
(50年後)
近年10年間の
銭湯減少率
滋賀23軒 (うち公設2)18軒12軒4軒-46.6%
京都190 (6)1571145228-35.2%
大阪701 (47)55841414551-40.1%
兵庫195 (1)1601174215-35.5%
奈良55 (18)433110-43.9%
和歌山37 (8)2722-53.8%
鳥取31 (8)29271915-13.9%
島根1-88.9%
岡山262115-42.7%
広島594532-46.4%
山口30 (3)2418-38.8%
徳島23 (5)1814-41.1%
香川23 (1)1813-45.3%
愛媛44 (2)3321-51.7%
高知9-75.7%
福岡453219-56.8%
佐賀1-75.0%
長崎19 (3)1410-48.7%
熊本59 (9)504018-32.2%
大分165 (65)144993613-25.7%
宮崎20181712-16.7%
鹿児島311 (44)300288249214- 7.2%
沖縄2 (1)-88.3%


で計算してみると、こんな感じになっていました。
あなたの都道府県は、数十年後銭湯何軒残っていましたか?

銭湯の減り方には、明らかに地域差があり、
鹿児島に代表されるように温泉が多い南九州は減少が全国平均に比べると減少率が緩やかです。
温泉地でいうと温泉銭湯が多い、青森、鳥取、山梨等もあまり減っていません。

同じ大都市圏でも
東京大阪京都あたりは全国平均くらいの減少率なのに対して
愛知・福岡あたりは30・50年後には銭湯消滅している可能性がある危機的数字です。
(ある程度の所で下げ止まる可能性が高いので、実際こうはならないと信じたいのですが…)
隣接する県でも減少率にかなり差がある所も多いです。

現在、各都道府県には銭湯・お風呂屋さんがありますが (※島根は町の銭湯は0軒
5年後の2020年には3県、10年後の2025年は4県、30年後の2045年は8県、50年後は19県というように
銭湯なし県」が増えていく可能性が高いです!

すでに軒数の少ない県は、具体的な銭湯の名が浮かぶので非常に心苦しいですが、これが現実です。

近年の銭湯の現状を考えると
上の予想より早いスピードで廃業が進む可能性もありますし、逆にある程度の所で下げ止まる可能性もあります。
(30年後・50年後は、「銭湯」「公衆浴場」って業種自体なくなっている可能性も...)

でも、一つはっきりしているのは
この「銭湯の減少」の大きな流れは今後変わることはないです。
それは、銭湯の主な廃業理由である「設備の老朽化・経営者の高齢化・燃料の高騰・利用者の減少」等々の
諸問題が解決の糸口がないからです。

今後、銭湯業界も揺るがすような大変革が起こらない限り確実に減り続けます。



さあ、どうしたものか???
ここから下は僕個人の考えになります。


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それでは少し長くなりますが、もう少しお付き合いください。


「銭湯の未来的な話」「銭湯はどうしたら残るか?」という話題になると
いかに廃業を食い止めるか、廃業銭湯をどうするか的な話になる事が多い気がします。
ですが、本当の答えは、僕はそこにはない気がします。
いくら廃業銭湯を救ってもこの大きな流れの中では
結局は焼け石に水だと思います。


ここで発想の転換をしませんか?


「銭湯の廃業」に注視したり取り組むのではなく
現在、客も来ていてやる気のある銭湯をいかに続けもらうか、
言い換えるならば、『続けたい銭湯が続けられる状況を作り出す』方法を考えた方が
数十年後の未来を見た場合、残る銭湯の数は増えると思います!



ところで、ここ数年起きている 斉藤湯、御谷湯、久松湯等々の
都内の銭湯の新築や大規模改修の動き(今年も数軒続く予定です!)が
全く他県に広がっていかないのは何故なんでしょう?
それは「補助金」の違いです。
東京都の場合、銭湯を建替えや改築に対して出る都や区からの補助金が
他県と比べて非常に多いのです。
(区によってその額はだいぶ違うし、様々な補助金支給の条件があり)

聞けば、名古屋ではここ十数年新築された銭湯がないそうです。(他県もほぼ同様です)
施設が古くなって建替えや大規模改修したくても、予算やその先の採算性で考えると
実現不可能になってしまう。
建物には寿命があり、常に湿気と熱にさらされている銭湯はなおさらです。
このまま建て替えや大規模改修ができない状況が続けば
建物の老朽化で寿命がきた銭湯はどんどん廃業していく事は避けられません。


そこでどうするか?

考えました。
考えた上での一つの答えがこれです↓








「政治」です。「銭湯と政治」です。

こんな事を書くと笑う人もいるかもしれませんが
こんな銭湯衰退の時代だからこそ、「政治と銭湯」の関係性を見直す必要があります。

ここ最近の軽率減税の問題で
銭湯の入浴料は完全にスルーされた事でも分かるように
銭湯業界の政治的影響力は明らかに低下しています。
まあ、銭湯の数が減る = 関係者も減る、票田としての価値が無くなるのだから当然と言えば当然ですが。

その昔、浴場組合のトップの人達が
お役所に乗りこんで補助金や自分たちに有利な条件を引き出してきました。
現在の全浴や各県浴場組合の理事の方達は
国や県や市町村との交渉の窓口となって
「お客も来ていて続ける気持ちがある銭湯の経営者が今後数十年続けられる」
行政上の仕組みを作っていただきたい!!!

それこそが本来の「浴場組合」の役目ですよね?



銭湯の減少が、もう個々の力で食い止められるレベルではないのは
上の表からも見ても明らかです。
だからこそ、「政治と銭湯」なんです。
銭湯の啓蒙活動も大事です。
でも、銭湯を続けられる世の中の仕組みが出来ていなければ意味がありません。


うちの母親も自分の実体験から言っておりました。
「世の中を本当に変えたいのなら、議員動かせ」と。


東京都くらいの補助金が出るのであれば
建替えや大規模改修をして、今後数十年続けたいという銭湯は必ず全国で出てくるはずです。
業界全体は明らかに縮小傾向ですが
ここ数年、確実に銭湯がメディアに出る機会は増え、人々の関心は高まっているのも好機です。


そう! いま銭湯界救うのは
銭湯マニアでも銭湯大好きアイドルでも銭湯大好き芸人でもなく
「銭湯♨大好き議員」なのかもしれません。



とりあえず「公衆浴場 議員 (地名)」 でググってみて!
意外と面白い情報出てきたりしますよ♨

| コラム的なもの | 21:23 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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銭湯のミライとは?③ ~銭湯ファンは風呂屋に火をつけろ!~

書きにくい...
今まで書いてきた「銭湯のミライ」の3章の中でもっとも書きにくい...
他の風呂屋さんや浴場組合の話なら部外者ゆえに客観的に見れる。
だが、今回は自分の話でもある。
それに「銭湯ファンは何をすべきか?」という問いを常に考え続け、今も考え中だから。
なので、これだと!という明確な答えはありません。
半分、違うだろ!くらいの反応を期待しつつ、考えるきっかけになればいいと思って書きます。
まあ、ごちゃごちゃ書いてないで始めます!


「銭湯のミライとは?」というタイトルで4本書きました。 今回は3回目「銭湯ファン」編です。
↓読んでいない方は是非読んでみてください
第1回目銭湯編 「銭湯の多様化とそれを許容する事」 
第2回目浴場組合編 「ここがへんだよ浴場組合」 
番外編 「~数から銭湯を見てみよう!~」




◎銭湯ファンがいまやるべき事
① 風呂屋に『火』をつけろ!!!
② 脱「町田忍」的銭湯観!!! 「建物」から『人』へ
③ 近くて遠い、町の銭湯。

☆『銭湯力』をあげる、超裏技!!!



B1mcpj-CQAEkk3x.jpg 京都市・長者湯にて。
① 風呂屋に『火』をつけろ!!!

放火のススメではありません。
つけるのはお風呂屋さんのハートの「火」です!!!
言い変えると、「お風呂屋さんのモチベーションをあげよう」という事です。
銭湯ファンが今やるべき最大の仕事、そして一番簡単で効果が期待できる事がこれです!


銭湯のご主人や女将さん(特にご主人かな?)は
銭湯・仕事に対するモチベーションが低い方が多いです。
感じませんか?なんで銭湯の人はあんな無反応なんだろう? (←流行っていない銭湯ほどこの傾向が強い。)
逆に、番台やフロントに妙に元気よく迎えられただけで「ここはいい銭湯だな」と確信します!
風呂屋の仕事は、毎日毎週毎年の繰り返し来る客も毎日ほぼ同じで、ある種のルーティンワーク。
しかも拘束時間も長く大変、やりがいを感じる機会も少ない、と聞きます。

ある銭湯でのお話です。
浴室の壁が昔はペンキ絵があったようだけど、今はただの白い壁。
ご主人に「なんでペンキ絵なくしたんですか?」って尋ねたら
「ペンキ絵描き変えても(常連さん)誰も気づいてくれないし止めたんだ」...
いや!!
正確には気づいていた人はいたはず。だが、それを声に出して店側に伝えてくる人がいなかった。
誰かお客さんの一人でも「ペンキ絵変わったんだ!いいね!」と言ったら
ご主人のモチベーションがあがってそのままペンキ絵描き変え続けていたかもしれません。

今回は対象がペンキ絵の話だったが、これがもし「銭湯」を続けるかどうかの状況だったら?!
(銭湯等でのイベントも、実は銭湯やってる側のモチベーションを上げるという“裏の目的”があります。)

モチベーションをあげる為に何をすればいい? 難しい事ではないです。
番台やフロントで帰る時に一言声掛ければいいんです!

入ってみて良かった所(一つで十分)、遠方からわざわざ来たならその旨を。
評論する必要はないです、見たまま言えばいいのです
「ペンキ絵あるんですね」「浴室明るいですね」等々
本当に何も言う事褒める所なければこう言ってください↓
「すごく暖まりました!!」

あなたの「銭湯一言運動」が積もり積もれば、銭湯存続の一つのキーになるかも?!



② 脱「町田忍」的銭湯観!!! 「建物」から『人』へ

なんで雑誌やテレビでの銭湯特集の時、
いつも同じ銭湯(東京だとほぼ決まった10軒ほど)が紹介されるんでしょうか?
東京には銭湯はその10軒しかないのでしょうか?
都内には600軒以上、全国には4000軒以上の銭湯があり
それぞれにその銭湯ならではの魅力があるのに本当もったいない。

突然ですが、銭湯の好きな人に聞きたい。
なんで、銭湯が好きなんですか?
ちょっと改めて考えてみてください。好きになったきっかけでもいいですよ。


先日、千葉市の検見川にある「梅の湯」という銭湯に行った時
雨の降ってる日急いで向いましたが、店に着いたのは閉店時間15分前でした。
「すいません、今から入れますか?すぐ上がるんで」と聞いたら
番台の女将さんが 「寒かったでしょ~。急がないでゆっくり暖まっていってください~♨」 と言ってくれた。
初めて行った銭湯です。この言葉にどれだけ救われたか。
その後、「ぜひうちの露天も入ってて!」と言われ露天風呂にも入れてもらい、
東北の風景を描いたペンキ絵の解説等 それこそ家族総出で『おもてなし』してくれました。

これなんです!!!
僕にとっての銭湯の魅力というのは!
「銭湯」とは、銭湯のご主人・女将さん・そこで働く人であり、常連さんや銭湯周辺の店等も含め、「人」です。
やっぱり、『銭湯は人』なんです!!!


従来の銭湯観だと、この銭湯の最大の魅力が大きく抜け落ちてた、と思います。
もちろん、町田忍さんをはじめ昔からの銭湯ファンの方の功績は認めますが、
語り口があまりにも建物や物、歴史の部分に偏り過ぎていて、「銭湯の魅力」の一部しか伝えられていないように感じます。

建物が立派な所よりも優しい女将さんのいる銭湯の方が100倍魅力的だし
もう一度行きたいと思わせる銭湯です!
銭湯の評価ポイントを、従来の建物重視の基準から「人」や「それぞれが好きな部分」に移せば、
「この銭湯は建物や設備的にはフツーだけど、○○ではどこにも負けない。日本一の銭湯だ!」となる訳です。
全国すべての銭湯が一番になれる可能性がある。その方が面白いし、楽しくないですか?

「キング・オブ・銭湯」ってなんですか?
一人一人がマイ“キング・オブ・銭湯”を堂々と語っていいんじゃないですか?!

これは一回目に書いた「銭湯の多様化」にもつながる事です。




③ 近くて遠い「町の銭湯」

これは多くの趣味にも共通している事ですが
「たくさん行ってる人」「多くの事を知ってる人」が凄い・偉い、という価値観があります。
確かにそれはあると思います。
でもこれだけ色々と書籍やインターネットが充実していて、ある種情報が飽和している状況で
今必要なのは面白いのは、対象を新しい価値観や切り口で語れる人ではないでしょうか?

町田さんや下北沢つかささんなど昔からの銭湯ファンの方の話を聞いてて、いつも気になるのは「意識」の問題です。
銭湯の未来なんて真剣に考えてるのかな?本当に色々な人に銭湯に行ってもらいたいのかな?と感じる事が多いです。
逆に若い人の方が
意識を持って「銭湯の魅力」を伝えようと、色々な銭湯に行ってもらおうと努力してると感じます。
少なくとも、今までの銭湯マニアが伝えられなかった部分の「銭湯の魅力」を発信してると思います。

そもそも「偉い・凄い」という価値観が変かもしれませんが、あえて言うなら
「何百軒、何千軒の銭湯行った人・知識のある人よりも、
たとえ入った銭湯の軒数は少なくとも
自分の視点や切り口で新しい『銭湯の魅力』を伝えてる人の方が偉いです!!!」



最後に、
「銭湯」が現在の抱える一番の問題は (廃業、施設の老朽化...等とはまた別の次元の話)
一般の人からすると、「銭湯」が『非常に遠い存在』になっている事ではないでしょうか。
料金的にはスーパー銭湯よりも、距離的には温泉地よりも、
確実に近い存在のはずの「町のお風呂屋さん」が大半の人の心から遠い。

この問題はみんな薄々気付いているけど、明確な『答え』を出している人もいまだにいない。

その離れてしまった「銭湯」と「一般の人」をつなぐ存在として
『銭湯ファン』の活動が重要になるんじゃないかなと思います。



先日ある銭湯から直接電話が僕にあり
「テレビ局がうちに取材に来て、ディレクターの方が『銭湯・奥の細道』みてきたと言ってました」
と丁寧にお礼がありました。こういう反応があるとうれしいし
自分の知らない人がHPを見て銭湯に足を運んでくれたと聞くと、やってて良かったなあと思います。

確かに銭湯というジャンル、反応薄いです。
こういう文章も書いてて誰が見てるんだろうと思う事も多いです。
でも、自分が面白いなあと感じた事・やりたいなあと思った事、とりあえずやってみればいいと思います。
たとえ失敗してもそれによって初めて分かる事多いし、
情報を発信・活動を続ければ
必ず見ている人はいます!やってる意味はあります!!!


image(7).jpg 千葉市検見川「梅の湯」






☆『銭湯力』をあげろ!!!

結局ところ、抽象的な事ばっかりで具体的な事言ってないじゃないか?と思った人に、
『銭湯力』をあげる、銭湯をより好きになる為の超裏技を書いておきます。
(これは銭湯ファンのみならず、銭湯経営者にも効果ある方法です)

超具体的です

1.三重県伊賀市の「一乃湯」さんに行ってご主人と話してください。

2.熊本県熊本市の「世安湯」さんに電話してください。


IMG_8667.jpg 熊本市・「世安湯」

ここは、銭湯界の「精神と時の部屋」です。(←元ネタが分からない人は検索してね)
これで確実にあなたの『銭湯力』は短期間で倍以上になります。
2軒とも真剣に「銭湯について話したい」と言えば喜んで対応してくれるはずです。
(↑事前にこの事相談したら2軒とも快く了解してくれました。当たり前ですが訪問・電話は営業時間内に)

伊賀の一乃湯のご主人、とにかく「銭湯」に対して熱いです!
この「銭湯のミライは?」という連作を書くきっかけになったのも
ここのご主人に触発されたからです。
熊本の世安湯の女将さん、今まで全国の銭湯に電話して来て
ここだけです、県下の銭湯一軒ごとの良い所を丁寧に解説してくれたのは。
「銭湯愛」に溢れてて非常にポジティブです!
断言します!2軒とも全国トップレベルの銭湯です!

何を言ってるか分からないと思いますが、
とにかく体験してみてください!
そうすれば、きっと意味が分かります。


僕のこのHP等の活動の目的は
「一人でも多くの人に銭湯に足を運んでもらうこと」
ほぼその一点です。
銭湯一覧・マップ、銭湯紹介、今回のコラム的なものもすべてその為です。
当然賛否あっていいです。
その結果、一人でも多く銭湯に足を運んでくれるようになれば
いいと思ってます。


image(8).jpg 三重伊賀・「一乃湯」

おしまい。



「銭湯のミライとは?」

第1回目銭湯編 「銭湯の多様化とそれを許容する事」 
第2回目浴場組合編 「ここがへんだよ浴場組合」 
番外編 「~数から銭湯を見てみよう!~」

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「銭湯のミライとは?【番外編】 ~数から銭湯を見てみよう!~

「銭湯のミライ」を語る上で、ある意味避けては通れない、
現在営業している銭湯、そして毎年廃業している銭湯のについて、見てみたいと思います。

漠然と「毎年数多くの銭湯が廃業している」という事実は、一般の方ですら知っている事ですが
その実際の数というとよく分からない部分があります。
この辺を調べる事によって見えてくるものもあるのではないかと前から感じていました。
町田忍さんは「都内の銭湯は週に1軒、全国で言うと毎日1軒ずつ銭湯が潰れている」という事を
よく発言されてますが、これも根拠に乏しいというか疑問の残る数字です。

なので自分で調べました!!!

銭湯の数、最新3年間、5年前、10年前の数、そして参考に銭湯が最も増えたと言われる昭和43年の数字を
47都道府県すべてまとめて表にしてみました。

データは、総務省統計局が毎年出している「衛生行政報告例」の公衆浴場数を元にしています。
浴場組合に加入している浴場数だと、近年組合が消滅している県や営業しているのに組合脱退している銭湯とかも
多くあるので、今回は「衛生行政報告例」の公衆浴場の数で見ていく事にします。
政府が毎年出している資料なのでかなり信頼度は高いです。
※ちなみに、昭和43年のデータは、浴場組合加盟の浴場数になっています。

「一般(普通)公衆浴場」とは、いわゆる「銭湯」「まちのお風呂屋さん」の事です
県によっては、安い温泉施設も含まれている事もあります。(青森・大分・鹿児島の軒数が非常に多いのはその為です。)
一般公衆浴場の数は、私営と公営を合わせた数にしています。そのうち、公営がある場合は( )内に書いてあります

とりあえず、データを見てみましょう!
それぞれ、その年度末での数なので、平成26年度→平成27年(2015年)3月31日の軒数になってます。
かなり最新です!

【銭湯(一般公衆浴場)の近年の数の推移】
      平成26年度
【2014年度】
平成25年度
【2013年度】
平成24年度
【2012年度】
平成21年度
【2009年度】
平成16年度
【2004年度】
昭和43年
【1968年】
浴場組合加入数
全国4,293軒
(うち公営354)
4,542軒 (370) 4804軒(390)5,494軒 (400)7,130軒 (501)17,642軒
北海道327 (48)342 (50)359 (48)432 (53)553 (72)1,081
青森321 (67)327 (66)331 (69)338 (64)364 (71)316
岩手27 (1)31 (2)33 (2)37 (1)62 (3)183
宮城9991322 (3)168
秋田12 (1)13 (1)12 (1)1322150
山形11118103 (昭和44)
福島1214141930211
茨城555812140 (昭和44)
栃木1112131218136
群馬2728283340224
埼玉61728096133 (1)377
千葉62647279120379
東京659 (1)707 (1)739 (1)838 (1)1075 (1)2,660
神奈川184195205234299797
新潟2628303745338
富山110 (1)112 (1)119 (2)130167 (1)324
石川86 (5)96 (8)95 (6)107 (6)145 (7)294
福井2427293458 (3)138
山梨19 (4)19 (4)21 (4)1625117
長野373856 (8)60 (8)74 (8)366
岐阜29 (1)30 (1)34 (1)45 (1)62 (3)287
静岡1126 (14)27 (14)19165 (24)260
愛知117127 (1)138 (1)178 (2)245 (2)816
三重47 (2)51 (4)53 (4)66 (2)106368

平成26年度
【2014年】

平成25年度
【2013年度】

平成24年度
【2012年度】

平成21年度
【2009年度】

平成16年度
【2004年度】

昭和43年
【1968年】
滋賀23 (2)24 (2)27 (3)32 (3)43 (6)104 (昭和44)
京都190 (6)201 (6)210 (7)236 (8)293 (12)581
大阪701 (47)736 (46)787 (48)943 (50)1186 (60)2,309
兵庫195 (1)207 (1)217 (1)250 (1)302 (1)970
奈良55 (18)60 (18)67 (24)86 (38)98 (37)136
和歌山37 (8)39 (8)40 (8)51 (8)80 (10)230
鳥取31 (8)30 (7)29 (7)15 (4)36 (8)65
島根11149 (3)96
岡山2627293545 (3)197
広島59636888110359
山口30 (3)31 (3)33 (3)40 (3)49 (3)257
徳島23 (5)28 (5)31 (5)38 (5)39 (3)229 (昭和45)
香川23 (1)25 (1)26 (1)32 (1)42232
愛媛44 (2)45 (2)49 (2)57 (2)91 (8)356 (昭和44)
高知9101015 (1)37 (2)142 (昭和44)
福岡45495874104640
佐賀1112482
長崎19 (3)19 (3)20 (3)28 (3)37 (4)219 (昭和44)
熊本59 (9)68 (8)77 (8)84 (9)87 (6)322 (昭和44)
大分165 (65)169 (65)173 (65)183 (71)222 (72)189
宮崎2021222224125 (昭和44)
鹿児島311 (44)315 (42)322 (43)333 (54)335 (60)278 (昭和44)
沖縄2 (1)3 (1)3 (1)3 (1)17 (2)221


・まず、ここ10年間の数字を見ると (この表では割愛しましたがその間の年も計算してます)
全国平均で見ると、毎年250軒くらい、全体の約5%の銭湯が廃業されています。(※年によってだいぶ差がある)
最近5年間で、全国で約1200軒!約22%の銭湯が廃業し、
10年間では、約2800軒。その当時あった銭湯の約40%が廃業した事になります。
昭和40年代の銭湯の数が最も増えた時期から比べると、数自体は4分の1以下になっている県も多いです。


・この減り方には地域差やその年によって大きく各差があり、
更に20年前30年前40年前と遡っていくと、
銭湯の一番増えた時期も急激に減った時期も県によって結構ずれがある事に気付きます。

・全国的に見ると、昭和43年をピークに銭湯の数は減り続けていて
その廃業スピードは年代を経るごとに加速していって
前述の通り、近年は1年間で5%、10年間で約4割の銭湯が営業を辞めている状況になっています。
個々の銭湯の廃業理由はそれぞれ違いますが
設備の老朽化・経営者の高齢化・燃料の高騰・利用者の減少等々が複数合わさっている事が多いです。

銭湯は、温度・湿度が常に高く、水お湯が流れているという建物としての悪条件があるので
建物は長くもって40年・50年くらいと言われています。
銭湯が一番増えた昭和43年(1968年)から約半世紀が経とうとしている今、
建物的にも経営者の年齢的にも、建替え・世代交代の時期にさしかかっている所が少なくありません。
莫大な費用がかかる建替え・大規模な改装をして「続ける」 or 「廃業」 の選択に迫られ、
決して明るくない現状や先行きを考えると、結果としてやめる選択をする銭湯が多いのです。



・全体としては減っていますが、温泉地として有名な県は数があまり減っていない傾向にあります。
※これらの県の一般公衆浴場は、浴場組合に加入していない所が多い為、昭和43年と比べても数があまり変わらない、
むしろ、青森・鹿児島みたいに一見すると増えているように見える所もあります。

・県下に数百軒ある都道府県もあれば、1軒ないしは2軒しかない“銭湯風前の灯”県もあります。
(それぞれの県の銭湯については 全国47都道府県の銭湯全軒一覧 に詳しくかいてあるのでご参考にしてください)

・あまり取り上げられる事はありませんが、公営の公衆浴場も年々数を減らしています。
それは、風呂なしの公営住宅の建て替えや、同和対策事業の縮小・終了などの影響だと思われます。

・各県の銭湯の数を見ていくと、
やはり単純に銭湯の数はその県の人口と比例している訳ではない事も分かります。
大都市圏でも減り方に差があり、京都府、東京都、大阪府は減り方が緩やかなのに対し
愛知県・福岡県は減少率が非常に高くなっています。
あと、今回の表には載せなかったんですが
人口が多いはずの政令指定都市でも、仙台、相模原、静岡、浜松などはいずれも銭湯の数が一ケタと少なくなっています。

この差は地域性や、銭湯がいかに地元の生活に密着しているか、行政の支援等々の理由が考えられるので
より詳しく見ていっても面白いし、もしかするとその辺に銭湯が生き残る為のヒントが
隠されているのかもしれません!



↓興味のある方は、下記のHPや資料により詳細なデータ載っているんで見てみてください。

参考資料:
総務省統計局HP  「衛生行政報告例」 統計表各年度報 公衆浴場数
『全浴連三十年史』 編:全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会  1990年発行
『全国浴場銘鑑』 編:全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会  1970年?発行
『京都極楽銭湯読本』 著:林宏樹  淡交社  2011年発行



第一回 銭湯編  「銭湯の多様化とそれを許容する事」 

第二回 浴場組合編   ◎「~ここがへんだよ浴場組合~」

第三回 銭湯ファン編  ◎~銭湯ファンは風呂屋に火をつけろ!~

◎番外編  「~数から銭湯を見てみよう!~」
◎番外編  「~10年後あなたの街に銭湯は残ってますか?~」

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「銭湯のミライとは?② ~ここがへんだよ浴場組合~」

○「銭湯のミライとは?② ~ここがへんだよ浴場組合~」
0IMG_3666.jpg
個人的に大好きな愛媛県八幡浜・大正湯さん

銭湯の未来や現在銭湯が抱えている問題について
銭湯、浴場組合、銭湯ファンという3つの視点で書いていきます。

今回は、2回目「浴場組合」編です。
前回1回目 「銭湯の多様化とそれを許容する事」 ←読んでいない方は是非読んでみてくだい




~ここがへんだよ浴場組合~

そもそも、浴場組合とは?
銭湯関係者と、銭湯マニアでなければ、全く知らない団体だと思います
正式には、「公衆浴場業生活衛生同業組合」といい、要するに銭湯・お風呂屋さん(一般公衆浴場)の同業者の集まりです。
全国41都道府県に2800(軒)くらいの加盟銭湯があるそうです。
詳しい事は→ こちら「全国浴場組合について」 みてください。

東京都などの大都市圏はほとんどの「一般公衆浴場」がこの浴場組合に加入していますが、
地方によっては加入していない浴場が多かったり、県下の銭湯の数が減りすぎて浴場組合が消滅してる県もあります。
役割としては、
銭湯同士のネットワーク、お役所(国・県・市)との窓口・補助金の受け取り、色々な費用の貸付等々なのかな?
加入している浴場は、毎月組合費(金額は県によってだいぶ違うようなのであえて書きません)を本部に納めています。
全国各地いろいろな銭湯の話を聞けば聞くほど
結局、誰の為になんの目的であるのか、存在意義が???な部分が多い団体です。

誰も指摘しませんが、(そもそも浴場組合について外部の人が書いた文章が皆無)
近年の銭湯の衰退の一因が、浴場組合にあるのは間違いないです!


僕個人は一銭湯ファンであり、風呂屋で働いた事もなければ、浴場組合の関係者でもありません。
そういった意味でこの文章は説得力が薄いかもしれません。
でも外部の人間だからこそ、見えてくる事もあるし、
内部の人間だと色々しがらみがあって書けない事も書けたりします。
そういった事を理解した上で以下の文章も読んでください。





◎いま、浴場組合がやめるべきこと。

書き始めたら、すごく長文になってしまいましたが、時間のある時にでも少しずつ順番に読んでください。
①「外国人」と「浴育」推しをやめましょう!
②「前年踏襲」をやめましょう!
③「横並び」や「足の引っ張り合い」をやめましょう!
④「現状維持」ではなく、『開拓者』の精神を!



①「外国人」と「浴育」推しをやめましょう!

0名称未設定 1 ←全国浴場組合HPスクリーンショット

浴場組合の事業の主なものに、「公衆浴場の活性化対策(利用促進事業)」があります。
上の全国浴場組合のHPみてもらえば分かる通り
ここ近年の全国浴場組合の重点取り組み課題は、「外国人への銭湯アピール」「浴育」です。
※あと、浴場組合が大好きな言葉としては、「地域コミュニティ」「日本の文化」なんてのがあります。

外国人旅行者へのアピールは2020年の東京オリンピックを見越して更に力入れてるように感じますが
そもそも訪日外国人が行きたいのは「温泉」であって「銭湯」ではないんじゃないですか?!(この辺は僕ももうちょっと調べる必要あり)
仮に外国人が日本の入浴文化に興味があって銭湯に入りたいと思っていても、
その恩恵に預かれる銭湯は東京や京都等の観光地の一部の銭湯だけでしょう。
確かに海外(外部)から評価されるのはうれしいと思いますが
大半の銭湯が関係ない事を全国の銭湯あげて取り組むのには非常に疑問を持ちます。
他にやる事いっぱいあるだろう!!! 
というのが正直な感想です。
(例えば、全国の銭湯の全軒一覧とマップを作るとか)

浴育についても同様です。
子ども(親子)が多い風呂屋はにぎやかで活気があり、僕自身そういう銭湯は大好きです!
でも、子どもや若い人がお客として多い銭湯は、特別「浴育」活動に力を入れているようには感じません。
浴育活動なんか力入れなくても若いお客が自然に来ています。
前回書いた通り、銭湯の総合力・質を上げていけば、家族連れや若い人もも自然に増えてくると思います。
浴育のポスターや紙芝居で実際に子どもが増えたという銭湯はあるのかな?


訪日外国人へのアピール・浴育ともにそれ自体は決して悪い事ではありません。
繰り返しになりますが、
でも、まず先に取り組むべき課題はいっぱいあり、まずはそっちからでしょう! という話です。
銭湯業界の廃業が続く現状を見ていると、
今の浴場組合は
「自分の家の中で何人も病気になったり死んだりしているのに
家の主は、外国人や他人の子どもの事ばかり追いかけてる」
ように映ります。

地元の人達に銭湯の魅力を伝えられてないのに(伝える努力をしていないのに)
どうして外国人や子どもにその魅力を伝える事が出来るのでしょうか?


アピール活動がしたいなら、まず地元!
明日から常連さんになってくれる可能性のある近隣の人達にアピールする方法を考えるべきです。

今後いつ日本に来てくれるか分からない旅行者にアピールするよりは
成果が出やすいし、費用対効果も明らかに高いはずです。

トップが決めた“ステキな(実情にそわない)目標”につきあわされ
下は自分たちの本当の問題に向き合えない...
古い組合、悪い組織の典型的事例...




②浴場組合の前年踏襲をやめましょう!

風呂屋の業界に限らず、古い組織・古い会社(創業が古いという意味ではない)ほど
どうしても「前年踏襲」が慣例化してしまう事が多くあります。
特に銭湯はある種、毎日毎年の繰り返しです。そうなってしまうのも理解できます。

前年と全く同じなら誰も文句言わずスルーで通るのに
少しでも(良い方向に)変えようとすると、途端に色々な所からヨコヤリが入る・・・



色々な銭湯の人に話聞くと
年々浴場組合での仕事や役回り、研修等が増え大変な負担になっていると言います。
それはそうでしょう。銭湯の数は全盛期の3分の1以下になっているのに
浴場組合の組織や研修等はそのままなんだから、当然仕事が回ってくる頻度も高くなります。
組合の仕事や研修も、銭湯にとって本当に役立つものならば良いのですが、現状そうでないものも多いようで...

そういう浴場組合に関する(金銭面や人的)負担は大きくなる一方
本当に必要な事はなかなか実現できない。本当の問題になかなか取り組む事ができない。
近年、浴場組合を抜ける銭湯が増えてきているというのも納得です。
というか、考えのある銭湯や経営努力してる銭湯が抜けていってるという現状を
浴場組合の理事さん達はちゃんと受け止めるべきです!

ある県の浴場組合の理事をやられている銭湯に、県下の銭湯の事を問い合わせたら
「趣味で銭湯まわってるヤツには教えない!」という驚きの名言(暴言)を頂いた事があります。
(↑この銭湯、実名あげてもいいけど今回はそれが目的ではないので止めておきます)

銭湯経営者の為でもない、風呂に入りに行く人の為でもない
一体誰のための何のための「浴場組合」のなのか、もう一度考える必要があります。

前章では、アピール活動の「外国人」と「浴育」推しについて書きましたが
浴場組合の他の事業や活動でも、似た事例はたくさんあるはずです。
毎年継続しているの事業でも本当の意味や効果があるのか?
面倒であっても、そのねらいや目的から改めて見直し・考えてみる必要があると思います。

話し合った上で前年と同じ内容・結論になったとしても、それはそれで意味のある事です。
議論を尽くしての「前年踏襲」と、何も考えずにする「前年踏襲」では、まったく意味が違います!!!



③「横並び」や「足の引っ張り合い」の体質を変えましょう!

正直、前2章は普通の会社や組織でもよくある事です。
今すぐ変えるべきは、浴場組合というか銭湯業界の「横並び」や「足の引っ張り合い」の精神です。
これが根深く、一番問題です。


公衆浴場業生活衛生同業組合は、遡れば江戸時代の湯屋株仲間から始まり
明治・大正・昭和初期に「乱立し数が増えすぎた浴場に一定のルールや規律を作る」為に各県で作られました。
その後、昭和40年代の最も浴場の数が増えた時代を経て、銭湯の減少が問題化している現在に至る訳です。

誤解を恐れずに言うと、
浴場組合の精神は、“100年以上前の銭湯が増え始めた時代”のもの
組合の組織としては、“約50年前の銭湯最盛期”の形を引きずっています。

それは、無理がきて当然です。


そもそも
「なんで銭湯の営業時間ってどこも大体一緒なんだろう?」と疑問に思いませんか。
各銭湯によって多少違うけど、営業時間15時~23時くらいが基本になっていますよね。
これは、一日動いて夕方・夜に銭湯で汗や汚れを落とす生活サイクルの人が多いのが一番の理由ですが、
他にも理由があります。
それは、その昔浴場組合が地域の銭湯の営業時間を一律に縛った事があったからです。
大正・昭和初期、銭湯が増えすぎ乱立しそれぞれの入浴料金もいろいろ、
営業時間も深夜2時3時まで営業してる所もあったりバラバラの状況でした。
そうした浴場同士の過度な競争によって銭湯の疲弊や共倒れを抑えるために
浴場組合が作られて、その中で色々なルールや規約が決められた訳です。

そうした100年前の精神が今も銭湯業界では色濃く残っています。
いくつか実例をあげてみましょう。

都内23区のとある銭湯では
一度来たお客さんに次回の入浴料が割引になる券を配る店独自のサービスをしていました。
ですが、その事が浴場組合内で問題になり吊るし上げにあって入浴料割引券を止めさせられたそうです。

入浴料の事は浴場組合内では非常にシビアな問題です。
多くの銭湯のご主人が口を揃えて言います
「銭湯の入浴料は絶対に動かせない!それは法律で決まっているから。そもそも銭湯は物価統制令という・・・」
↑これは半分合っていて半分間違えです。
本来、法律で決まっているのは入浴料金の上限であり、下げる事は各浴場の営業判断・自由に出来るはずなんです。
実際、浴場組合加入の銭湯でも県内の入浴料が揃っていない県もありますし
法律でガッチリ値段が縛られているのだったら、
入浴回数券(での実質割引)や、イベント事で子どもの入浴料無料も違法ですよね?
※浴場組合と入浴料金の関係や歴史を書きだすと
それだけでまるまる一本記事が書けるくらいの内容なので、詳しくは書きませんが
浴場組合の歴史=入浴料金の改定問題。と言えるくらい重要な案件でした。
昭和43~45年の「物価統制令廃法問題」等何度かで自由価格への移行も検討されましたが
その度にもめにもめた結果、現在の形になっている経緯があります。
なので入浴料金の問題は、浴場組合内での“アンタッチャブル”になっていると想像できます。


とある町の銭湯では、お客さんの為に浴室にサウナ付けたいと思いましたが
そこの地域は他の浴場がサウナ付けていなかったので、他の浴場と設備を横並びにする為に
サウナ設置の許可が下りなかったそうです。

お客さんの為に良くしようとした事が、浴場組合内では問題になるなんて、やっぱり変ですよね。

まあ、上の事例が全ての場所に当てはまる訳ではないですが、
こうした浴場同士の「横並び」の精神は日本中で残っています。


この横並びの精神、さらに良くないのが
いい銭湯をお手本にみんなで高いレベルを目指そう!という「上への“横並び”」ではなく、
出来てない・やらない銭湯の低いレベルにみんなが合わせるという「下への“横並び”」になっている事です。

これが、自分の銭湯を良くしよう!お客さんの為にこれをしよう!とする
前向きな風呂屋の「足を引っ張る」結果になってきたのです。

良い所・人気のある所の真似をして自分もさらに伸びる、これは商売ではよくある事だし、仕事でもそうだと思います。
こうした競争原理的なものが銭湯業界ではほとんど機能してこなかったのです。


銭湯が増えすぎて乱立していた時代には、共倒れを防ぐ為皆が共存していく為に
そうしたルールや強い縛りが必要だったかもしれませんが、
現在は銭湯が減り続けています。
そうした中で昔のような「出る杭は打たれる」体質は、銭湯業界全体として非常にマイナスだと思います。

このまま、「横並び」の精神で、全国の銭湯みんな仲良く一緒に廃業しますか?



前回、書いたように
変わりたい銭湯は変わっていく。
今のまま変わりたくない銭湯はそのままでもいいが、他の浴場を引っ張るような事はしない。
こうした体質や考えの変化
「銭湯の多様化とそれを許容すること」が浴場組合や銭湯の中で今求められています。

0IMG_9563.jpg
県下のどの銭湯よりも「銭湯への愛」を感じる、優良銭湯・福島市のつるの湯さんの店内掲示

ここまでほぼ全編、浴場組合批判の展開してきましたが
すべてが悪い訳ではありません。浴場組合もまた変わり始めています。
東京も最近は、区・市単位での独自のイベントやHP等の取り組みが多く見られるようになりましたし、
東京都浴場組合も変わってきているのを感じます。
(HPの刷新と冊子での「1010」廃止には色々意見もあったみたいですが、僕は英断だと思います)
風呂屋すら読まない「全国浴場新聞」も、読みたい箇所が増えてきました。

全国でも浴場組合のあたらしい動きが出ています。
兵庫浴場組合の「銭湯王国展」や、三重浴場組合のスタンプラリーもその一つです。
また、浴場組合らしくない浴場組合、熊本浴場組合が動き出したのも喜ばしい事です。
こうした動きが全国に広がればいいと思います!








きれいにまとめたと見せかけておいて第4章です。
もしかすると、ここが一番大事かも?

④「現状維持」ではなく、『開拓者』の精神を!

「浴場組合あるある」としてよく聞くのが
組合の中には、意識が高く現状を変えようとする浴場経営者もいるけど、
組合のトップに、県下一 頭の固い風呂屋のオヤジがどっしりと座っていて
なかなか話が前に進んでいかない...

浴場組合の非常に残念なのは
組合での上の立場(理事長・理事)の人達の多くが、『開拓者』ではないという事です。


浴場組合黎明期(明治~昭和初期)混沌とした銭湯業界の中で、
警察署長と戦い、県や国、役所に怒鳴りこんで
自分たちの権利・補助等をもぎ取ってきた先人達。
戦中・戦後のどん底の燃料不足の時代
燃料の薪や木炭の配給を受けるために山奥で薪切りの勤労奉仕したり、
終戦直後は当時余ってた電気を直接湯船にぶっ込んでお湯を沸かしたり
リヤカー押して空襲で燃え残っている資材集めに奔走した先人達。
そして、浴場組合としての活動が活発化し銭湯の数も増え続けた昭和30年代
昭和43年全国の銭湯の数が最大になり銭湯黄金時代とその直後のオイルショックを経験した先人達。

正直、その活動の全てが良いとは思いませんが
いま銭湯に普通に入れているのはこの先人達の努力のおかげだと思います。

この時代の先人達は、『開拓者』として力を持っていました!
問題を解決する為に自ら考え・行動し、煮え湯にも浸かってきた“熱い”人達だと思います!
自分たちの生業である「風呂屋」を命懸けでやってきたんだな。と言う事が資料や年表からも伝わってきます。
なんか異常に「ギラギラ」してます!!!


それに比べ
近年の浴場組合の上にいる人達は、多くが銭湯経営2代目・3代目以降の人達です。
最初から自分の城(銭湯)があり、先人達が切り開いた世界を
現状維持(実際はそれも出来なかった訳ですが)してきた世代です。
ギラギラ感うすいです。


ここに、ある銭湯関係の資料があります。
「公衆浴場の問題と対策」という資料で
銭湯における問題点とそれに対する対策・解決策が書かれています。
簡素化されてますが、かなり突っ込んだ内容で、銭湯経営者なら参考になると思います。
問題点
image(3).jpg
対 策
image(4).jpg
引用:『埼浴六十年のあゆみ』 63ページ 編:埼玉県公衆浴場業環境衛生同業組合

これ埼玉県衛生部環境衛生課がまとめた資料で、
埼玉県の浴場組合の資料に添付されてました。
日付よく見て欲しいんですが、これ最近の資料ではなく、昭和60年、30年前の資料なんです!
実は、最近言われている銭湯における諸問題(利用者減、施設老朽化、経営者の高齢化、燃料問題等)は
すでに銭湯の数が徐々に減り始めた昭和50年代(1975年~)から
実態調査に基づいた資料が作られて組合内では問題になっていたのです。


そうした問題点やそれに対する改善案が示されていながら
抜本的改革や本気の対策が取らないまま問題を放置した結果、
年々浴場の経営状況は悪化、廃業する銭湯が続出。現在の状況にに至っているという訳です。
取り組むべきは、やっぱり「外国人アピール」や「浴育」なんかじゃないんです!

もちろん「時代の流れだ、しょうがない」と片づける事も出来ますが、
やはり、問題を先送りし本気で取り組まなかった昭和50年代以降の浴場組合には
現在の銭湯衰退に対する責任があると思います。




もし、この記事を
浴場組合を内部から変えようと頑張っている銭湯経営者の方が見ていたら、とてもうれしいです。
あなたが浴場組合で問題に感じ、変えようと思っている事は正しいです!是非やるべきです!
風呂屋業界に入って、最初に感じた違和感。それはとても大事です。

でも正しい事がすべて簡単に通るとは限りません。
年数と権力だけで考えのない人につぶされるかもしれません。
でも、あきらめず熱意とビジョンを持って、繰り返し今年ダメなら来年と提案し続ければ必ず通るはずです!

現状維持ではなく、『開拓者』の精神を持って
ぬるま湯に浸かりきっている連中に、“熱い”煮え湯をぶっかけてやってください!!!




参考資料:
『全浴連三十年史』 編:全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会  1990年発行
『全浴連50年 来し方から展望へ』 編:全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会  2008年発行
『埼浴六十年のあゆみ』 編:埼玉県公衆浴場業環境衛生同業組合  1985年発行
『京都極楽銭湯読本』 著:林宏樹  淡交社  2011年発行
その他、各県浴場組合HP





第一回 銭湯編  「銭湯の多様化とそれを許容する事」 

第二回 浴場組合編   当記事 

第三回 銭湯ファン編  ◎~銭湯ファンは風呂屋に火をつけろ!~

◎番外編  「~数から銭湯を見てみよう!~」
◎番外編  「~10年後あなたの街に銭湯は残ってますか?~」

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