銭湯や温浴施設における「新型コロナウィルスへの予防対策・対応」について
◎銭湯や温浴施設における「新型コロナウィルスへの予防対策・対応」について。2020/5/30更新
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、国が4月7日にも、緊急事態宣言を発令する予定です。
対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に対して約1ヶ月間になる見込みです。
緊急事態宣言が発令された場合の東京都の対応策が4月6日発表されました。
その中で公衆浴場(銭湯)は、適切な感染防止対策の協力要請を行った上で開店を認めるという方針が示されました。
社会生活を維持する上で必要な施設(生活インフラ)」として、公衆浴場の他に、病院、スーパーマーケット、ホテル、飲食店、交通機関等が挙げられています。 → 緊急事態宣言へ都対応案
その為に、営業を続ける銭湯はより一層の適切な感染防止対策の実行が求められます。
下記の「◎新型コロナウィルス等の感染症への具体的な対策」を参考にしてください。
3月25日に熊本市東区の温浴施設で長期間滞在者の新型コロナ感染が判明し、その後他の利用者や家族にも感染者が相次いで確認され、クラスター(感染者の集団)の発生が懸念されています。 → 西日本新聞・記事
3月上旬、千葉と横浜のスポーツジム(お風呂、サウナ、岩盤浴も持っている施設)や福祉施設での集団感染が報告されているように、全国の銭湯や温浴施設が「対岸の火事」ではないですし、必ずしも安全とは言い切れません。
これだけ、全国に感染者が拡大し、また症状の出ない感染者も多数いると言われる状況から考えるに
適切な対応をしていても、銭湯や温浴施設の中で今後も感染者が出る可能性は十分にあると思います。
ただ、「全く適切な対応・対策をせずに、施設内で感染者を出た場合」と
「適切な対応・対策を可能な限りした上で、施設内で感染者が出た場合」では
その銭湯・温浴施設の責任やその後の人々の反応等も全く違うと思います。
これから書く情報や対策を正しく理解し実行する事が、感染拡大防止だけではなく、
その店、そのお客さん、その業界を守る事にも繋がります。
こうした緊急時こそ
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
◎感染症対応の基本的考え方
◎新型コロナウィルス等の感染症への具体的な対策
・銭湯や温浴施設側の対応・対策
・もし、従業員や利用者に新型コロナ感染者が出たら・・・
・お客さんに求める対応
・感染症の対応の中で注意すべき点
まず基本の考え方として、
今年3月に厚生労働省から出た最新の『浴場業の振興指針』の中に
今回のような「感染症への対応」について書かれた部分があるので、そこを参考にすべきだと思います。
※「浴場業の振興指針」は、公衆浴場(主に銭湯)に対して、国・厚生労働省から出ているガイドラインです。
銭湯経営者や働いてる人、関連業者も内容についてはよく理解しその上で判断行動するべきです。
『浴場業の振興指針』(令和2年3月公布)には、今回のような感染症の対策について以下のようにあります。
すなわち感染症対策は、個々の銭湯や浴場組合が勝手に判断するのではなく
近隣の感染状況や対応について一番把握している保健所等と協力・協議し、
適切に対応する事が求められています。
通常の入浴営業、また人が集まるイベント、行政と行っている主に高齢者向けの事業について、
実施する必要性とそれに対するリスク等を十分に検討した上で、判断すべきだと思います。
こうした緊急時の対応については、災害対応の時も同様ですが、
過度に怖がるのではなく、また過度に楽観視するのでもなく、
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
現時点で、銭湯の全国団体「全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)」や東京・各県の浴場組合から、
各銭湯に対し適切な指示や対応策が下りてきておらず、対応が各県浴場組合や各銭湯任せてなっています。
同業種であるスーパー銭湯や日帰り温泉等の温浴施設の多く、また日本サウナ・スパ協会や
同じ生活衛生分野の理容や美容の組合が、
今回の新型コロナウィルスに対する具体的な対策を取っているのに、
銭湯業界は残念ながら危機感も薄く、そのような対策や対応が全く出来ていないのが現状です。
※追記。その後、3月26日以降に東京都浴場組合から追加の文章が出ましたが、まだ十分と言える内容ではないです。
銭湯経営者は、レジオネラ菌等については詳しい知識を持っていますが、
それ以外の多くの感染症や感染予防対策については、ほぼ一般人と同じレベルの知識です。
各銭湯は現在、適切な対応・予防策がなんなんか分からず、確実に混乱しています。
また、感染者が出た地域と出ていない地域では、そこの銭湯にも新型コロナへの意識に温度差が出ています。
それに対する銭湯の方の不安の声や問い合わせが当方にまで届いてきています。
今後、もし銭湯の利用者や従業員から新型コロナの感染者が確認された場合、
個々の銭湯がバラバラの対応をし始める可能性があり、その点を非常に危惧しております。
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況なので、銭湯や温浴施設の対応策の一例や注意点を書きます。
以下の書かれた内容は、厚生労働省や同業種・他業種の店舗や団体の情報や対策を参考にした内容です。
こうした情報が、銭湯や温浴施設の適切な新型コロナ等の感染症対策に繋がれば良いと思い、書きました。
決して以下の内容が「絶対的に正しい」ものではないです。状況や対応は常に変化します。その点ご理解ください。
まずは上記に書いた通り、各地の保健所との協力協議が最優先です。
また現在、厚生労働省から多くの新型コロナウィルスについての情報が出ています。
こちらで最新の情報や対応・予防策を学びましょう。 → 厚生労働省・新型コロナウイルス感染症について
◎銭湯・温浴施設側の対応・対策
1.衛生管理の徹底。
・人がよく触れる場所の清掃・除菌の徹底
接触感染を予防するためには、手がよく触れるところ、たとえば、ドアノブ、スイッチ、手すり、エレベーターのボタン、テーブルやカウンター、共用で使うもの(トングやメニュー等)などについて、消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤等で定期的な清拭をすることが有効です。特に小さなお子さんが来店する機会が多い施設については、こまめな清拭をお願いします。
引用元新型コロナウイルスに関するQ&A「集客施設を運営する方へ」
銭湯・温浴施設などでは、上記の場所の他にロッカーや下駄箱、洗面所、ドライヤー、イス・ソファ等
トイレや浴室の桶・椅子等も、人がよく触れる場所に当たると考えられます。
消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤、次亜塩素酸ナトリウム等で定期的な清拭をすることが有効。
巡回清掃や通常より清掃の回数を増やす対応が必要。(2時間に1回以上推奨)
・アルコール消毒液等の設置
希望するお客さんが使えるように、入口や受付にアルコール消毒液の設置。
※「次亜塩素酸水」については現時点で新型コロナウイルスへの有効性や
空間除菌をうたった次亜塩素酸水の噴霧の安全性が、確認されていないので推奨はしません。
・共有のクシや、トイレのタオル、ジェットタオルの使用中止
利用者が共有して使う物は、そこから感染症が広がる可能性もあるので使用を中止しましょう。
また、ジェットタオルもウィルスの飛散の可能性があるので止めている所が多いです。
2.定期換気。利用者の施設滞在時間の短縮、混雑(人の密度)を緩和。
・定期的な換気の実施
・機械換気(空調設備、機械換気設備による換気)
・窓をあけての換気。30分に1回(数分程度)、可能ならば2方向の窓を開けて、空気が流れるように配慮する。
・不特定多数が仮眠や長時間滞在が可能な「休憩スペース」「仮眠スペース」等の利用休止。
冒頭に書いた熊本市の温浴施設では、新型コロナ感染者は休憩スペースで長期間寝泊まりしていたという情報もあります。
特に感染が確認されている地域では、施設内の上記のようなスペースはすぐに利用休止すべきだと思います。
・飲食スペース、サウナについては、それぞれの店で検討
特に大勢が長い時間密集した密閉空間で過ごす可能性はあるサウナは休止する事が望ましいですが、
それぞれの施設の特性や混雑状況に大きな差もあるので
各施設ごとに休止、営業時間短縮や衛生対策を判断する必要があると思います。
・イベントや行政との事業の検討
人の集まるイベントや行政との事業(主に高齢者向けの入浴事業等)については
イベントの規模や実施する必要性とそれに対するリスク等を十分に検討し、必要に応じ行政や保健所、浴場組合との協議の上で
開催の延期や休止を決定すべきだと思います。
・密閉した空間で人が密集・密接しない工夫
国・厚生労働省やそれぞれの自治体から注意喚起が出されているように
「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集空間」「間近で会話や発声する密接場面」は
クラスター(感染者の集団)と呼ばれる感染が広がりやすいとされています。
上記で書いた定期換気の実施や、混雑や人の密集が起こらないようにする店側の工夫配慮が必要。
引用元・ 厚生労働省・「密」を避けて外出しましょう

3.従業員の健康管理の徹底。
・風邪などの症状・体調不良・発熱の従業員は休ませる。
当たり前の事ですが、体調も悪い人を無理に出勤させる・せざるえない勤務体制は止めましょう。
経営者・従業員の体調不良で通常の店舗運営が出来ないのであれば、休業や営業時間の短縮等の判断もありだと思います。
参考資料:新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
経済産業省「新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ」
・従業員の出勤時の体温チェックの実施
・従業員の咳エチケット・手洗いの励行
・マスクの着用については、このマスクの品薄状態なので、可能ならばというところだと思います。
3.新型コロナに対する正しい情報の掲示、情報収集
・咳エチケット・正しい手洗いの啓蒙
厚生労働省からこのような新型コロナ対策の掲示が出ています。施設内に掲示して、利用者に伝えましょう。
感染症対策・咳エチケットと手洗い(PDF)

・近隣の感染状況等、正しい最新情報の把握
ネット情報や不確かな噂話デマを鵜呑みにせず、正しい情報を得るようにしましょう。
厚生労働省・新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルスを防ぐには(PDF)

※もし、従業員や利用者に新型コロナ感染者が出たら・・・
もし、従業員や利用者に新型コロナウィルス感染者が出たら
すぐに地元の保健所に連絡・その指示に従ってください。
従業員の家族等に感染者が出たなど、経営者や従業員が濃厚接触者であることが疑われる場合や
また、以下の症状が経営者・従業員に見られる場合は、
・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
↓ ↓ ↓
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター か
新型コロナウイルスに係る厚生労働省電話相談窓口 に連絡し、その指示に従ってください。
◎お客さんに求める対応
・風邪などの症状、体調不良、発熱(37.5℃以上)がある方には、入店をご遠慮いただく。
銭湯は、他の施設よりも高齢の方の利用者が多く、一度感染者が出たらそこから広がる可能性があります。
また、いまだに体調不良を入浴等の熱で治すという考え方を持っている方も多くいます。
この状況ですし、風邪や体調不良・熱のある方については、来店をご遠慮いただくべきだと思います。
・咳エチケットや正しい手洗いの実施のお願い
厚生労働省から出ている感染症対策を、施設内に掲示して利用者に伝え、実施してもらいましょう。
感染症対策・咳エチケットと手洗い(PDF)

◎新型コロナウィルス等の感染症の対応の中で注意すべき点
銭湯・温浴施設側が、誤った情報やデマを拡散したり
新型コロナウィルス等の感染症に対する不当な偏見や差別を煽るような文章・対応を
店側は絶対にしてはいけません
もう既に、一部の銭湯や浴場組合の出した文章の中に
「(2月下旬の段階で)新型コロナウィルスが蔓延いたしております」や「非常事態宣言が出ました」等の
誤った情報や利用者の不安を過度に煽る文章が見受けられています。
情報を書くのであれば、ネット情報や不確かな情報ではなく、公的な機関から出てる正式な情報のみにすべきです。
また「コロナウィルスは熱に弱いから、入浴やサウナが効果がある」
「銭湯はお湯の消毒に次亜塩素酸を使ってるから安全」などの民間療法レベルの不確かな情報を
(利用者側が言うのは勝手ですが) 店側が出すのは止めるべきだと思います。
従業員や利用者に対して、不当な偏見や差別を煽るような言動や対応はしてはいけません。
また、利用者全員に「入店時のマスク着用を強く求める」等の過剰なコロナ対策もするべきではないと思います。
経営者は、体調不良の従業員が休みやすい職場環境、配慮、十分な保障体制が必要です。
今回の新型コロナウィルスによる利用者や従業員に対する不当な扱いや解雇等が起こらないようにしなければなりません。
参考資料:新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
最後に繰り返しになりますが、緊急時こそ
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
全国の銭湯・温浴施設の利用者・従業員に
新型コロナウィルスの感染者が出ないことを。
また、今回の感染拡大や世の中の不安が一日も早く収束する事を願っています。
銭湯・奥の細道

対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に対して約1ヶ月間になる見込みです。
緊急事態宣言が発令された場合の東京都の対応策が4月6日発表されました。
その中で公衆浴場(銭湯)は、適切な感染防止対策の協力要請を行った上で開店を認めるという方針が示されました。
社会生活を維持する上で必要な施設(生活インフラ)」として、公衆浴場の他に、病院、スーパーマーケット、ホテル、飲食店、交通機関等が挙げられています。 → 緊急事態宣言へ都対応案
その為に、営業を続ける銭湯はより一層の適切な感染防止対策の実行が求められます。
下記の「◎新型コロナウィルス等の感染症への具体的な対策」を参考にしてください。
3月25日に熊本市東区の温浴施設で長期間滞在者の新型コロナ感染が判明し、その後他の利用者や家族にも感染者が相次いで確認され、クラスター(感染者の集団)の発生が懸念されています。 → 西日本新聞・記事
3月上旬、千葉と横浜のスポーツジム(お風呂、サウナ、岩盤浴も持っている施設)や福祉施設での集団感染が報告されているように、全国の銭湯や温浴施設が「対岸の火事」ではないですし、必ずしも安全とは言い切れません。
これだけ、全国に感染者が拡大し、また症状の出ない感染者も多数いると言われる状況から考えるに
適切な対応をしていても、銭湯や温浴施設の中で今後も感染者が出る可能性は十分にあると思います。
ただ、「全く適切な対応・対策をせずに、施設内で感染者を出た場合」と
「適切な対応・対策を可能な限りした上で、施設内で感染者が出た場合」では
その銭湯・温浴施設の責任やその後の人々の反応等も全く違うと思います。
これから書く情報や対策を正しく理解し実行する事が、感染拡大防止だけではなく、
その店、そのお客さん、その業界を守る事にも繋がります。
こうした緊急時こそ
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
◎感染症対応の基本的考え方
◎新型コロナウィルス等の感染症への具体的な対策
・銭湯や温浴施設側の対応・対策
・もし、従業員や利用者に新型コロナ感染者が出たら・・・
・お客さんに求める対応
・感染症の対応の中で注意すべき点
まず基本の考え方として、
今年3月に厚生労働省から出た最新の『浴場業の振興指針』の中に
今回のような「感染症への対応」について書かれた部分があるので、そこを参考にすべきだと思います。
※「浴場業の振興指針」は、公衆浴場(主に銭湯)に対して、国・厚生労働省から出ているガイドラインです。
銭湯経営者や働いてる人、関連業者も内容についてはよく理解しその上で判断行動するべきです。
『浴場業の振興指針』(令和2年3月公布)には、今回のような感染症の対策について以下のようにあります。
『衛生問題への対応
衛生課題は、浴槽等におけるレジオネラ症防止対策を講じることはもとより、インフルエンザ等の感染症への対応が必要であり、営業者にとどまらず、保健所等衛生関係機関及び公益財団法人都道府県生活衛生営業指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)等との連携を密にして対応することが求められる。
衛生問題は、営業者が一定水準の衛生管理をしている場合、通常、頻繁に発生するものではないため、発生防止に必要な費用及び手間について判断しにくい特質がある。しかし、一旦、感染症が発生した場合には、多くの利用者に被害が及ぶことはもとより、営業自体の存続が困難になる可能性があることから、日頃からの地道な衛生管理の取組みが重要である。
また、こうした衛生問題は、個々の営業者の問題にとどまらず、業界全体に対する信頼を損ねることにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識向上に資する普及啓発並びに適切な指導及び支援に努めることが求められる。』
浴場業の振興指針(令和2年3月公布)より引用
すなわち感染症対策は、個々の銭湯や浴場組合が勝手に判断するのではなく
近隣の感染状況や対応について一番把握している保健所等と協力・協議し、
適切に対応する事が求められています。
通常の入浴営業、また人が集まるイベント、行政と行っている主に高齢者向けの事業について、
実施する必要性とそれに対するリスク等を十分に検討した上で、判断すべきだと思います。
こうした緊急時の対応については、災害対応の時も同様ですが、
過度に怖がるのではなく、また過度に楽観視するのでもなく、
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
現時点で、銭湯の全国団体「全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(全浴連)」や東京・各県の浴場組合から、
各銭湯に対し適切な指示や対応策が下りてきておらず、対応が各県浴場組合や各銭湯任せてなっています。
同業種であるスーパー銭湯や日帰り温泉等の温浴施設の多く、また日本サウナ・スパ協会や
同じ生活衛生分野の理容や美容の組合が、
今回の新型コロナウィルスに対する具体的な対策を取っているのに、
銭湯業界は残念ながら危機感も薄く、そのような対策や対応が全く出来ていないのが現状です。
※追記。その後、3月26日以降に東京都浴場組合から追加の文章が出ましたが、まだ十分と言える内容ではないです。
銭湯経営者は、レジオネラ菌等については詳しい知識を持っていますが、
それ以外の多くの感染症や感染予防対策については、ほぼ一般人と同じレベルの知識です。
各銭湯は現在、適切な対応・予防策がなんなんか分からず、確実に混乱しています。
また、感染者が出た地域と出ていない地域では、そこの銭湯にも新型コロナへの意識に温度差が出ています。
それに対する銭湯の方の不安の声や問い合わせが当方にまで届いてきています。
今後、もし銭湯の利用者や従業員から新型コロナの感染者が確認された場合、
個々の銭湯がバラバラの対応をし始める可能性があり、その点を非常に危惧しております。
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況なので、銭湯や温浴施設の対応策の一例や注意点を書きます。
以下の書かれた内容は、厚生労働省や同業種・他業種の店舗や団体の情報や対策を参考にした内容です。
こうした情報が、銭湯や温浴施設の適切な新型コロナ等の感染症対策に繋がれば良いと思い、書きました。
決して以下の内容が「絶対的に正しい」ものではないです。状況や対応は常に変化します。その点ご理解ください。
まずは上記に書いた通り、各地の保健所との協力協議が最優先です。
また現在、厚生労働省から多くの新型コロナウィルスについての情報が出ています。
こちらで最新の情報や対応・予防策を学びましょう。 → 厚生労働省・新型コロナウイルス感染症について
◎銭湯・温浴施設側の対応・対策
1.衛生管理の徹底。
・人がよく触れる場所の清掃・除菌の徹底
接触感染を予防するためには、手がよく触れるところ、たとえば、ドアノブ、スイッチ、手すり、エレベーターのボタン、テーブルやカウンター、共用で使うもの(トングやメニュー等)などについて、消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤等で定期的な清拭をすることが有効です。特に小さなお子さんが来店する機会が多い施設については、こまめな清拭をお願いします。
引用元新型コロナウイルスに関するQ&A「集客施設を運営する方へ」
銭湯・温浴施設などでは、上記の場所の他にロッカーや下駄箱、洗面所、ドライヤー、イス・ソファ等
トイレや浴室の桶・椅子等も、人がよく触れる場所に当たると考えられます。
消毒用アルコールや界面活性剤を含む住居用洗剤、次亜塩素酸ナトリウム等で定期的な清拭をすることが有効。
巡回清掃や通常より清掃の回数を増やす対応が必要。(2時間に1回以上推奨)
・アルコール消毒液等の設置
希望するお客さんが使えるように、入口や受付にアルコール消毒液の設置。
※「次亜塩素酸水」については現時点で新型コロナウイルスへの有効性や
空間除菌をうたった次亜塩素酸水の噴霧の安全性が、確認されていないので推奨はしません。
・共有のクシや、トイレのタオル、ジェットタオルの使用中止
利用者が共有して使う物は、そこから感染症が広がる可能性もあるので使用を中止しましょう。
また、ジェットタオルもウィルスの飛散の可能性があるので止めている所が多いです。
2.定期換気。利用者の施設滞在時間の短縮、混雑(人の密度)を緩和。
・定期的な換気の実施
・機械換気(空調設備、機械換気設備による換気)
・窓をあけての換気。30分に1回(数分程度)、可能ならば2方向の窓を開けて、空気が流れるように配慮する。
・不特定多数が仮眠や長時間滞在が可能な「休憩スペース」「仮眠スペース」等の利用休止。
冒頭に書いた熊本市の温浴施設では、新型コロナ感染者は休憩スペースで長期間寝泊まりしていたという情報もあります。
特に感染が確認されている地域では、施設内の上記のようなスペースはすぐに利用休止すべきだと思います。
・飲食スペース、サウナについては、それぞれの店で検討
特に大勢が長い時間密集した密閉空間で過ごす可能性はあるサウナは休止する事が望ましいですが、
それぞれの施設の特性や混雑状況に大きな差もあるので
各施設ごとに休止、営業時間短縮や衛生対策を判断する必要があると思います。
・イベントや行政との事業の検討
人の集まるイベントや行政との事業(主に高齢者向けの入浴事業等)については
イベントの規模や実施する必要性とそれに対するリスク等を十分に検討し、必要に応じ行政や保健所、浴場組合との協議の上で
開催の延期や休止を決定すべきだと思います。
・密閉した空間で人が密集・密接しない工夫
国・厚生労働省やそれぞれの自治体から注意喚起が出されているように
「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集空間」「間近で会話や発声する密接場面」は
クラスター(感染者の集団)と呼ばれる感染が広がりやすいとされています。
上記で書いた定期換気の実施や、混雑や人の密集が起こらないようにする店側の工夫配慮が必要。
引用元・ 厚生労働省・「密」を避けて外出しましょう

3.従業員の健康管理の徹底。
・風邪などの症状・体調不良・発熱の従業員は休ませる。
当たり前の事ですが、体調も悪い人を無理に出勤させる・せざるえない勤務体制は止めましょう。
経営者・従業員の体調不良で通常の店舗運営が出来ないのであれば、休業や営業時間の短縮等の判断もありだと思います。
参考資料:新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
経済産業省「新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ」
・従業員の出勤時の体温チェックの実施
・従業員の咳エチケット・手洗いの励行
・マスクの着用については、このマスクの品薄状態なので、可能ならばというところだと思います。
3.新型コロナに対する正しい情報の掲示、情報収集
・咳エチケット・正しい手洗いの啓蒙
厚生労働省からこのような新型コロナ対策の掲示が出ています。施設内に掲示して、利用者に伝えましょう。
感染症対策・咳エチケットと手洗い(PDF)

・近隣の感染状況等、正しい最新情報の把握
ネット情報や不確かな噂話デマを鵜呑みにせず、正しい情報を得るようにしましょう。
厚生労働省・新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルスを防ぐには(PDF)

※もし、従業員や利用者に新型コロナ感染者が出たら・・・
もし、従業員や利用者に新型コロナウィルス感染者が出たら
すぐに地元の保健所に連絡・その指示に従ってください。
従業員の家族等に感染者が出たなど、経営者や従業員が濃厚接触者であることが疑われる場合や
また、以下の症状が経営者・従業員に見られる場合は、
・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
↓ ↓ ↓
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター か
新型コロナウイルスに係る厚生労働省電話相談窓口 に連絡し、その指示に従ってください。
◎お客さんに求める対応
・風邪などの症状、体調不良、発熱(37.5℃以上)がある方には、入店をご遠慮いただく。
銭湯は、他の施設よりも高齢の方の利用者が多く、一度感染者が出たらそこから広がる可能性があります。
また、いまだに体調不良を入浴等の熱で治すという考え方を持っている方も多くいます。
この状況ですし、風邪や体調不良・熱のある方については、来店をご遠慮いただくべきだと思います。
・咳エチケットや正しい手洗いの実施のお願い
厚生労働省から出ている感染症対策を、施設内に掲示して利用者に伝え、実施してもらいましょう。
感染症対策・咳エチケットと手洗い(PDF)

◎新型コロナウィルス等の感染症の対応の中で注意すべき点
銭湯・温浴施設側が、誤った情報やデマを拡散したり
新型コロナウィルス等の感染症に対する不当な偏見や差別を煽るような文章・対応を
店側は絶対にしてはいけません
もう既に、一部の銭湯や浴場組合の出した文章の中に
「(2月下旬の段階で)新型コロナウィルスが蔓延いたしております」や「非常事態宣言が出ました」等の
誤った情報や利用者の不安を過度に煽る文章が見受けられています。
情報を書くのであれば、ネット情報や不確かな情報ではなく、公的な機関から出てる正式な情報のみにすべきです。
また「コロナウィルスは熱に弱いから、入浴やサウナが効果がある」
「銭湯はお湯の消毒に次亜塩素酸を使ってるから安全」などの民間療法レベルの不確かな情報を
(利用者側が言うのは勝手ですが) 店側が出すのは止めるべきだと思います。
従業員や利用者に対して、不当な偏見や差別を煽るような言動や対応はしてはいけません。
また、利用者全員に「入店時のマスク着用を強く求める」等の過剰なコロナ対策もするべきではないと思います。
経営者は、体調不良の従業員が休みやすい職場環境、配慮、十分な保障体制が必要です。
今回の新型コロナウィルスによる利用者や従業員に対する不当な扱いや解雇等が起こらないようにしなければなりません。
参考資料:新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
最後に繰り返しになりますが、緊急時こそ
「正しい情報を集めて、まずは落ち着いて状況を判断し、適切に判断する事が大切です」
全国の銭湯・温浴施設の利用者・従業員に
新型コロナウィルスの感染者が出ないことを。
また、今回の感染拡大や世の中の不安が一日も早く収束する事を願っています。
銭湯・奥の細道
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