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銭湯・奥の細道 (東北と全国の銭湯巡り)

東北を中心に、全国の銭湯・スーパー銭湯・日帰り温泉・サウナ・共同浴場を紹介します!

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「銭湯のミライとは?【番外編】 ~数から銭湯を見てみよう!~

「銭湯のミライ」を語る上で、ある意味避けては通れない、
現在営業している銭湯、そして毎年廃業している銭湯のについて、見てみたいと思います。

漠然と「毎年数多くの銭湯が廃業している」という事実は、一般の方ですら知っている事ですが
その実際の数というとよく分からない部分があります。
この辺を調べる事によって見えてくるものもあるのではないかと前から感じていました。
町田忍さんは「都内の銭湯は週に1軒、全国で言うと毎日1軒ずつ銭湯が潰れている」という事を
よく発言されてますが、これも根拠に乏しいというか疑問の残る数字です。

なので自分で調べました!!!

銭湯の数、最新3年間、5年前、10年前の数、そして参考に銭湯が最も増えたと言われる昭和43年の数字を
47都道府県すべてまとめて表にしてみました。

データは、総務省統計局が毎年出している「衛生行政報告例」の公衆浴場数を元にしています。
浴場組合に加入している浴場数だと、近年組合が消滅している県や営業しているのに組合脱退している銭湯とかも
多くあるので、今回は「衛生行政報告例」の公衆浴場の数で見ていく事にします。
政府が毎年出している資料なのでかなり信頼度は高いです。
※ちなみに、昭和43年のデータは、浴場組合加盟の浴場数になっています。

「一般(普通)公衆浴場」とは、いわゆる「銭湯」「まちのお風呂屋さん」の事です
県によっては、安い温泉施設も含まれている事もあります。(青森・大分・鹿児島の軒数が非常に多いのはその為です。)
一般公衆浴場の数は、私営と公営を合わせた数にしています。そのうち、公営がある場合は( )内に書いてあります

とりあえず、データを見てみましょう!
それぞれ、その年度末での数なので、平成26年度→平成27年(2015年)3月31日の軒数になってます。
かなり最新です!

【銭湯(一般公衆浴場)の近年の数の推移】
      平成26年度
【2014年度】
平成25年度
【2013年度】
平成24年度
【2012年度】
平成21年度
【2009年度】
平成16年度
【2004年度】
昭和43年
【1968年】
浴場組合加入数
全国4,293軒
(うち公営354)
4,542軒 (370) 4804軒(390)5,494軒 (400)7,130軒 (501)17,642軒
北海道327 (48)342 (50)359 (48)432 (53)553 (72)1,081
青森321 (67)327 (66)331 (69)338 (64)364 (71)316
岩手27 (1)31 (2)33 (2)37 (1)62 (3)183
宮城9991322 (3)168
秋田12 (1)13 (1)12 (1)1322150
山形11118103 (昭和44)
福島1214141930211
茨城555812140 (昭和44)
栃木1112131218136
群馬2728283340224
埼玉61728096133 (1)377
千葉62647279120379
東京659 (1)707 (1)739 (1)838 (1)1075 (1)2,660
神奈川184195205234299797
新潟2628303745338
富山110 (1)112 (1)119 (2)130167 (1)324
石川86 (5)96 (8)95 (6)107 (6)145 (7)294
福井2427293458 (3)138
山梨19 (4)19 (4)21 (4)1625117
長野373856 (8)60 (8)74 (8)366
岐阜29 (1)30 (1)34 (1)45 (1)62 (3)287
静岡1126 (14)27 (14)19165 (24)260
愛知117127 (1)138 (1)178 (2)245 (2)816
三重47 (2)51 (4)53 (4)66 (2)106368

平成26年度
【2014年】

平成25年度
【2013年度】

平成24年度
【2012年度】

平成21年度
【2009年度】

平成16年度
【2004年度】

昭和43年
【1968年】
滋賀23 (2)24 (2)27 (3)32 (3)43 (6)104 (昭和44)
京都190 (6)201 (6)210 (7)236 (8)293 (12)581
大阪701 (47)736 (46)787 (48)943 (50)1186 (60)2,309
兵庫195 (1)207 (1)217 (1)250 (1)302 (1)970
奈良55 (18)60 (18)67 (24)86 (38)98 (37)136
和歌山37 (8)39 (8)40 (8)51 (8)80 (10)230
鳥取31 (8)30 (7)29 (7)15 (4)36 (8)65
島根11149 (3)96
岡山2627293545 (3)197
広島59636888110359
山口30 (3)31 (3)33 (3)40 (3)49 (3)257
徳島23 (5)28 (5)31 (5)38 (5)39 (3)229 (昭和45)
香川23 (1)25 (1)26 (1)32 (1)42232
愛媛44 (2)45 (2)49 (2)57 (2)91 (8)356 (昭和44)
高知9101015 (1)37 (2)142 (昭和44)
福岡45495874104640
佐賀1112482
長崎19 (3)19 (3)20 (3)28 (3)37 (4)219 (昭和44)
熊本59 (9)68 (8)77 (8)84 (9)87 (6)322 (昭和44)
大分165 (65)169 (65)173 (65)183 (71)222 (72)189
宮崎2021222224125 (昭和44)
鹿児島311 (44)315 (42)322 (43)333 (54)335 (60)278 (昭和44)
沖縄2 (1)3 (1)3 (1)3 (1)17 (2)221


・まず、ここ10年間の数字を見ると (この表では割愛しましたがその間の年も計算してます)
全国平均で見ると、毎年250軒くらい、全体の約5%の銭湯が廃業されています。(※年によってだいぶ差がある)
最近5年間で、全国で約1200軒!約22%の銭湯が廃業し、
10年間では、約2800軒。その当時あった銭湯の約40%が廃業した事になります。
昭和40年代の銭湯の数が最も増えた時期から比べると、数自体は4分の1以下になっている県も多いです。


・この減り方には地域差やその年によって大きく各差があり、
更に20年前30年前40年前と遡っていくと、
銭湯の一番増えた時期も急激に減った時期も県によって結構ずれがある事に気付きます。

・全国的に見ると、昭和43年をピークに銭湯の数は減り続けていて
その廃業スピードは年代を経るごとに加速していって
前述の通り、近年は1年間で5%、10年間で約4割の銭湯が営業を辞めている状況になっています。
個々の銭湯の廃業理由はそれぞれ違いますが
設備の老朽化・経営者の高齢化・燃料の高騰・利用者の減少等々が複数合わさっている事が多いです。

銭湯は、温度・湿度が常に高く、水お湯が流れているという建物としての悪条件があるので
建物は長くもって40年・50年くらいと言われています。
銭湯が一番増えた昭和43年(1968年)から約半世紀が経とうとしている今、
建物的にも経営者の年齢的にも、建替え・世代交代の時期にさしかかっている所が少なくありません。
莫大な費用がかかる建替え・大規模な改装をして「続ける」 or 「廃業」 の選択に迫られ、
決して明るくない現状や先行きを考えると、結果としてやめる選択をする銭湯が多いのです。



・全体としては減っていますが、温泉地として有名な県は数があまり減っていない傾向にあります。
※これらの県の一般公衆浴場は、浴場組合に加入していない所が多い為、昭和43年と比べても数があまり変わらない、
むしろ、青森・鹿児島みたいに一見すると増えているように見える所もあります。

・県下に数百軒ある都道府県もあれば、1軒ないしは2軒しかない“銭湯風前の灯”県もあります。
(それぞれの県の銭湯については 全国47都道府県の銭湯全軒一覧 に詳しくかいてあるのでご参考にしてください)

・あまり取り上げられる事はありませんが、公営の公衆浴場も年々数を減らしています。
それは、風呂なしの公営住宅の建て替えや、同和対策事業の縮小・終了などの影響だと思われます。

・各県の銭湯の数を見ていくと、
やはり単純に銭湯の数はその県の人口と比例している訳ではない事も分かります。
大都市圏でも減り方に差があり、京都府、東京都、大阪府は減り方が緩やかなのに対し
愛知県・福岡県は減少率が非常に高くなっています。
あと、今回の表には載せなかったんですが
人口が多いはずの政令指定都市でも、仙台、相模原、静岡、浜松などはいずれも銭湯の数が一ケタと少なくなっています。

この差は地域性や、銭湯がいかに地元の生活に密着しているか、行政の支援等々の理由が考えられるので
より詳しく見ていっても面白いし、もしかするとその辺に銭湯が生き残る為のヒントが
隠されているのかもしれません!



↓興味のある方は、下記のHPや資料により詳細なデータ載っているんで見てみてください。

参考資料:
総務省統計局HP  「衛生行政報告例」 統計表各年度報 公衆浴場数
『全浴連三十年史』 編:全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会  1990年発行
『全国浴場銘鑑』 編:全国公衆浴場業環境衛生同業組合連合会  1970年?発行
『京都極楽銭湯読本』 著:林宏樹  淡交社  2011年発行



第一回 銭湯編  「銭湯の多様化とそれを許容する事」 

第二回 浴場組合編   ◎「~ここがへんだよ浴場組合~」

第三回 銭湯ファン編  ◎~銭湯ファンは風呂屋に火をつけろ!~

◎番外編  「~数から銭湯を見てみよう!~」
◎番外編  「~10年後あなたの街に銭湯は残ってますか?~」
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