今年初夏にオープン!気仙沼の銭湯「鶴亀の湯」と、「亀の湯」
今年の初夏7月頃に宮城県気仙沼市に
「鶴亀の湯」という新しい銭湯(一般公衆浴場)が出来ます!!
浴場用のトレーラーハウスを使った全国でも非常に珍しい(初?)タイプの銭湯です。
今回の鶴亀の湯のオープンの話を正式に聞いたのは、3月初旬
2年前に廃業した同じ気仙沼の銭湯「亀の湯」の齊藤さんご夫婦からでした。
齊藤さんとは2011年頃からのつきあいで亀の湯廃業後も年数回会っていました。

鶴亀の湯のオープン予定地。気仙沼魚市場の目の前。平日は漁師・市場関係者、休日は観光客が多くいる。
亀の湯ご主人に気仙沼港の魚市場近くの鶴亀の湯の予定地に案内してもらい
鶴亀の湯を立ち上げる小野寺紀子さん(※後述)も紹介いただいた。
新しく出来る「鶴亀の湯」では、
元・亀の湯の齊藤さんご夫婦も地元の方と一緒に、銭湯と食堂の運営を行う予定だ。
→ ○亀の湯について
→ ○鶴亀の湯について
○「亀の湯」について





NHK「気仙沼の人々」(2012)より
気仙沼の銭湯・亀の湯は全国各地から気仙沼港にきた漁師さんが集まる銭湯だった。銭湯としてもかなり変わっていて、営業前の午前中でも
入港した漁師さん達が風呂に入りに来たり、シャワー浴びに来たり、ひげ剃りに来たり。
女将さんも来たお客さんに「たべな、たべな」とお菓子、刺身(!)、お茶を振る舞ったり。





NHK「気仙沼の人々」(2012)より
2011年3月11日、20メートルを超える津波が何度も気仙沼を初めてする東北地方を襲った気仙沼港に近い銭湯亀の湯は半壊、裏の自宅は全壊しその後取り壊された。
銭湯は一度は休業したが、全国の多くの方からの助けもあり2011年仮設での入浴、翌年正式に営業再開した。
そして、震災後は船の人や地元の人に加え、ボランティアや工事の人達も多く集まる場所にもなった。





そんな復活を遂げた亀の湯だが
その後、防潮堤建設とかさ上げ工事の為で立退きと建物の解体を余儀なくされ、
2017年にその131年の歴史に幕をおろした・・・
亀の湯の齊藤克之・ちか子さんご夫婦のところには
今でも毎年全国の船の人から手紙やら海産物の贈り物などが届く。
先日は、結婚式の招待まで来たそうだ。
でも、その船の人達と会う銭湯・亀の湯はもうなくなった。
齊藤さんの特に奥のちか子さんは
「船の人やボランティアの人達にまた会いたい。そういう場をもう一回作りたい」
と亀の湯閉店後も頻繁に言っていた。
その為、亀の湯のあった場所には自宅兼小さなコインランドリーをいま建てている。
2017年に亀の湯が閉店した時
もう一回同じ場所には銭湯を再建すべきだという意見もあったが
齊藤さんご夫婦の年齢を考えるとそれは難しい。
銭湯を新築して斎藤さんに回収の難しい多額の借金を負うのはあまりにも酷だ。
自分自身も、もし亀の湯が再開するなら
斎藤さんもご夫婦には金銭面の負担はかけず
気仙沼市か他の人が作った施設に管理人等の
形で入るのが現実的だと考えていた。
それが今回、鶴亀の湯オープンによって実現出来そうだ。

鶴亀の湯は
気仙沼港を利用する漁師さん船の人、市場関係者の為の銭湯であると同時に、
亀の湯時代の船の人やボランティア、お客さんが、ご主人女将さんとまた会える場所でもある。
その再会の場という意味も「銭湯・鶴亀の湯」にはある。
だから名前も、『鶴“亀の湯”』なのだ。
銭湯という『場』が継承され今後若い人にバトンタッチされて続いていく。
『場を再建し繋いでいく』
被災地の復興計画は何かと建物や巨大な何かを作りたがるけど
こういう「場」を作ることも重要じゃないかなと思う。
それを実現できる可能性がある、僕が鶴亀の湯を応援支援する大きな理由の一つです。
○「鶴亀の湯」について

鶴亀の湯・鶴亀食堂の立ち上げの中心メンバー。斉藤さん、小野寺さん、根岸さん。鶴亀HPより
宮城県気仙沼に新しく出来る銭湯「鶴亀の湯」と併設してごはん食べられる「鶴亀食堂」は
気仙沼魚市場そばの「みしおね横丁」の中で、他5店舗の飲食店と一緒にオープンする予定です。
経営は新しい会社を立ち上げ、地元企業の小野寺紀子さん、斉藤和枝さん、気仙沼に移住してきた根岸えまさんが中心に行う。
『鶴亀の湯・鶴亀食堂』 HP
このプロジェクトの事を初めて耳にしたのは約2年前。銭湯・亀の湯が廃業した時
「つばき会」(気仙沼の女将さんの団体)が港の近くに代わりの銭湯を作ろうとしている。という話を聞いた
それから2年経ち
現在、亀の湯なき後、漁師さん達はどうしても風呂入りたい時は
タクシー等で乗り合わせ往復5000円かけて市内のスーパー銭湯「ほっこりの湯」に行ったりしているそうだ。
気仙沼にはもう一軒「友の湯」(←こっちもとても良い銭湯!)という銭湯もあるが、
港からは距離もあり営業時間も午後からなので午前中とか漁師さんが行くは難しい。
気仙沼つばき会の方達は、漁師さんの為に、
やはり港のそばに気軽に入れる入浴施設が必要だと強く感じた。
気仙沼市や市内の事業者等に打診もしたけど、結局どこも動かなかった。
小野寺さん「こういう時は誰かが腹をくくらないといけない。だから、今回は私達が動いた。」
さすが、港の女性は強い!!
亀の湯閉店から約2年間水面下で動き続け
気仙沼魚市場の目の前の適当な場所が確保でき
また採算が合うような浴場設備や事業計画が整える事が出来て
今回の発表となった。
鶴亀の湯・鶴亀食堂の開業資金は3000万円
うちの1000万円は、地元・気仙沼市が創造的産業復興支援事業の助成金を出し
1400万円は、地元から事業者や市民からの寄付で、
残り600万円をクラウドファンディングで集める予定だという。 ←5月23日終了。600万円無事達成!!
現在も、下記のページで振込での支援受付中で誰でも寄付出来ます。
「鶴亀の湯・鶴亀食堂。ご寄付ご協力のお願い」

トレーラーハウス銭湯「鶴亀の湯」の内部。鶴亀HPより

鶴亀の湯と鶴亀食堂を含む「みしおね横丁」。銭湯部分は右奥のトレーラハウス2棟。後述のAbemaTVより
鶴亀の湯の簡易の設計図も見たが
銭湯はあくまで船の漁師さんや市場関係者をメイン利用者と想定してる為
そこそこの広さがある男湯に比べ、女湯はかなり狭い、家庭浴室くらい。
元々は男湯だけを考えていたが、片方だけでは一般公衆浴場の認可が下りないため女湯もつけた経緯がある。
まあ、港の銭湯だと男湯の方が広いのはよくある。
もちろん銭湯なので、440円で地元の人も観光客でも誰でも入れる。
また、メインの利用者となる船や魚市場の人の為に、銭湯は朝7時から営業する予定だという。
今回、自分が「鶴亀の湯・鶴亀食堂」の応援支援を決めたのは
第一に、
地元・気仙沼の人が中心になり責任持ってプロジェクトを進めている点。
小野寺紀子さんは、冷凍水産物の輸出入漁船に餌や資材を積み込む事業やアンカーコーヒー等を手がけてる
「オノデラコーポレーション」の常務取締役、
斉藤和枝さんは、水産加工会社老舗の「斉吉商店」の専務取締役だ。
地元気仙沼の事もよく知ってるし、経営の事もよく分かっている。
4年前に気仙沼に移住してきた根岸えまさんという若い力もある。
外部の人が思いつきで進めてる復興事業ではないという事。
結局ところ、銭湯は地域のものであり
地元の人に必要とされればこその銭湯である。
第二に、
しっかりと準備、事業計画を立ててる点。
2年間かけて準備や調査、関係機関との調整もしている。
銭湯完成開業をゴールにするのではなくて
そこをスタートと考え、その後の運営や事業計画を建てている。
利用者数を考えると銭湯単体では採算を取るのは難しい。
観光客もたくさんいる魚市場前の立地なら飲食も合わせてやればそこから収益を集められる
小野寺さんは言っていた。
「もし資金を集めてやりました。はい、すぐやめました。では申し訳が立たない。
銭湯が続くように事業計画を考えてる」
第三に、
銭湯建設の費用の問題。
銭湯は建物が特殊なので、新規で建てる場合建設費だけで2億円以上はかかると言われてる。
その為、客数が少ない地方では銭湯を建てたり大規模に修繕したりすると
その費用が何十年かかっても回収できない可能性が高い。
それが地方都市で銭湯の新築や大規模改修を拒む大きなネックになってる。
今回、浴室用トレーラーハウスを使う事で
その建築費用が数十分の一に抑えられた。
気仙沼だから出て来たアイディアで、初めて聞いた時正直驚いた。
(気仙沼市内、トレーラーハウスでの営業して商店等も多い)
自分は、過去に他の地域で多くの銭湯復活プロジェクトで
外部の無責任な主催者達が無計画なプロジェクトを推し進め
毎回問題を起したり失敗するのを見てきた。
浴室用トレーラーハウスの耐久性、浴場としての機能・能力、
あと、船の人が去る冬の期間の営業、ランニングコスト等の採算面、
不安の要素が全くないわけではないが、
過去のそれらに比べれば、今回の鶴亀の湯の計画は、何十倍も現実的だ。
気仙沼の人が中心となり、気仙沼にとって必要だから銭湯を作るという目的も心強い。
だから応援したいと思った。
それに、もしこの形での銭湯の経営運営が成り立つなら
他の地域にも新しい銭湯を作れる可能性が出てくる。
その先駆的な事例になるかもしれない。
そういう可能性も感じる。だから応援支援したと思った。
鶴亀の湯が完成したら
ぜひ、今まで来たことある人も初めて来る人も、一度宮城県気仙沼に足を運んでほしい!!
確かに遠いけど、食べ物はうまいし、人は優しいし、良い街です。
鶴亀の湯が、そういう足を運ぶきっかけになると良いと思う。

気仙沼市内の安波山から望む気仙沼港と魚市場。
鶴亀の湯・鶴亀食堂の今後のスケジュール
2019年
3月中:設計・メニュー考案
3月中旬:建設予定地で地鎮祭を行いました。
4月上旬:トレーラーハウス設営
4月中旬〜:設備・内装施工
7月頃:オープン予定
○鶴亀の湯・鶴亀食堂の立ち上げメンバーの一人根岸えまさんを取材したニュース番組
銭湯については→3:40~11:40あたり。
気仙沼港に再び漁師のための銭湯を 被災地“移住女子”と被災者が挑む新たな復興|【AbemaTV】
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